■本書の特徴
やみくもに指していても、なかなか将棋は強くなりません。上達するには、指し手を支える「考え方」を学ぶ(学び直す、鍛え直す)必要があります。本書は、なかなか棋力が伸びなくて困っている、そんな将棋ファンにぜひ読んでいただきたい一冊です。
アマチュアに指導をつけながら、「将棋を指すうえで大切なこと」について語ります。たとえば、
「将棋は一手だけよい手を指しても、それで急に状況はよくなりません」(構想について)
「将棋におけるスピードは百メートル走のようなスピードとは異なります。
相手をゴールから遠ざけることも可能なので、状況が複雑になります」(スピードについて)
など、著者一流の「さり気ないけど、おそろしく深い言葉」は、きっとあなたの将棋観を大きく揺さぶることでしょう。
■著者からひとこと
将棋はゴルフ以上にバンカーの多いゲームです。そこからどのように抜け出すかがとても重要で、棋力の大部分をこれが占めている気がしています。本書は感覚的なことについて書いたので、気軽に読んで下さい。そして実戦を指したとき、自然にバンカーショットが打てるようになっていれば嬉しく思います。──羽生善治
■目次
第1章 基本方針と形勢判断──四つの判断基準
第2章 構想について──その方向性は正しいか
第3章 歩の下に駒を進める──駒の力を引き出すには
第4章 駒がぶつかったとき──損得のバランスを考える
第5章 位取りについて──五段目の歩の大きな力
第6章 主戦場について──戦う場所の選択
第7章 玉の安全度について──囲いの強さ、囲うタイミング
第8章 さばきについて──量より質のテクニック
第9章 厚みについて──戦わずして勝つ方法
第10章 スピードについて──将棋の質が変わる
第11章 攻めの継続──指し切りの局面を作らない
第12章 進展性について──自分の進展性と相手の進展性
第13章 陣形について──必ず崩されるという覚悟