■本書の特徴
主導権をにぎって攻めることができ、やっかいな穴熊にもされにくい──こうした理由から、プロの間では石田流がとてもよく指されているようです。この戦法を先手番でのエースにすえ、高勝率をあげている棋士も少なくありません。
ところが将棋ファンの間では「乱戦になりそうだから」と理由で敬遠されることもあるようです。将棋ファンのみなさんが「こんな戦法なら自分でも指してみたい」と思うような石田流はどんな石田流なのでしょう? そのように考えてみたら、「玉をしっかり囲ってから攻める」という《将棋の基本》に忠実な石田流の本ができあがりました。相手からの乱戦は未然に防ぎ、自分からも乱戦にしない、そんな石田流です。
石田流の駒組みとして、江戸時代から指されている「本組み」に加え、ここ数年大ブレイクしている「7七角型」の2種類を紹介します。新旧2タイプということになりますが、いずれも現代的センスをふんだんに取り入れた駒組み・さばき・指しまわしですので、多くの場面で、これまでの常識をくつがえすことになります。
居飛車の作戦は棒金や二枚銀などの急戦から、左美濃や銀冠、穴熊といった持久戦までさまざまありますが、本書はそのすべてに対応しています。石田流入門としても、自分の石田流をもう一度見直したい方にとっても、すこぶる役に立つ内容のはずです。
本書が目指したのは「将棋ファンのための石田流」です。プロにしか指しこなせないような超高度な石田流ではありません。
■著者からひとこと
石田流は、主導権をにぎって攻めたいときにうってつけの戦法です。乱戦のイメージが強いかもしれませんが、実はそうではありません。本書で一番大切にしたのは「玉をしっかり囲ってから攻める」こと。そう、いつも通りでいいのです。本書で基本をマスターして、石田流を指してみましょう。――戸辺誠
■目次
プロローグ
第1章 石田流VS急戦
第2章 石田流VS左美濃・銀冠
第3章 石田流VS居飛車穴熊
コラム